旅の準備をしよう

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「その後、傭兵団の活躍によりコーネリアの周りからモンスターは激減し、街は活気を取り戻しましたとさ」 「その少年というのが……クロイさんですか?」  マシロの問いかけにドラクロは黙って首を縦に振る。 「しかし、街が救われた後も私達はクロイを警戒していた」 「え、どうしてですか? クロイさんのおかげでコーネリアは助かったんですよね」 「ああ、そうさ。だが奴はモンスター被害が収まると同時に街を救った見返りを寄越せと言って来たのさ」  街を救って経済力を回復させた後に見返りを要求する。  小賢しいやり方は3年前から健在だったらしい。  マシロは冷たい視線を隣で自分の武器と口げんかする鑑定士に送った。 「私達は恐怖したよ。一体どれだけ大きな見返りを求められるのかとな」  1週間以内に500万持ってこいだろうか。  それとも街の売り上げの何パーセントかを毎月寄越せだろうか。  マシロは頭の中でクロイが言いそうな事を予想するが、どれも本当に要求しそうな物ばかりで背筋がぞっとした。 「それで、クロイさんは何て言ったんですか?」  ドラクロはふふっと笑って答える。 「この街に住む権利とボロでもいいから家をくれと言ったのさ」 「……それだけですか?」     
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