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神々が世界を作り変え、環境の変化と共に進化し凶暴性を増した野生生物達は通称『モンスター』と呼ばれている。
騎士団や傭兵団の活躍によってその数は激減したものの、この世界スフィアにはまだまだ獣型や昆虫型のモンスターが徘徊している。
とてもではないがエルフの女性一人で街から街へ移動することなど出来ないだろう。
「ケルスにいた行商人の方に途中まで馬車に乗せてもらったんです。その時は傭兵の方もいたので安全でした」
「途中までは……か」
「はい。それで、コーネリアの近くで降ろしてもらった後はこれを使いました」
そう言ってマシロはローブの下に着ていた布の服の胸ポケットから黄色の球体を取り出した。
飴玉ほどの球体を目にしたクロイとドラクロはその顔を引きつらせる。
「お、お嬢さんそれってまさか……」
「はい。臭い玉です」
彼女が笑顔で取り出した臭い玉とは数年前にドワーフ一族が制作した自衛用アイテムの一つで、魔力を籠めることで玉から強烈な異臭を発して近寄るモンスターを撃退するという代物だ。
「そのあまりに強い臭いから使用者が気分を悪くしてしまう世界的に有名な役立たずアイテム……こんなもんまだ使ってるやつがいたのか」
「えー? 私は結構この臭い好きなんですけどね。消費魔力もかなり少なくて使いやすいですし」
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