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「なるほど。お前鼻の高いエルフのくせに嗅覚が馬鹿なのか」
「そんなことないですよ! クロイさんもしっかりと嗅げばこの香りのよさが――」
そう言って魔力を玉に籠めようとしたマシロの腕を超反射でクロイとドラクロが掴んで押さえつける。
「お、お嬢さん。店の中でそれはやめてくれ」
「臭くなるならお前だけ臭くなれ馬鹿!」
「わ、私は臭くありません! レディーになんてこと言うんですか」
2人からの猛反発を受けたマシロは渋々臭い玉をローブの中にしまうと、店内に飾られた防具の数々を見て回る。
重く頑強な重装備から軽くしなやかな軽装まで、トヨトミの棚には鋼を何度も打ち付けて形にしたありとあらゆる防具が揃っていた。
その品々を見て回るのは、生まれてこの方冒険と縁が無かったマシロの心を多少ながらも興奮させる。
「で、どんな防具を探してるんだい?」
「予算はそんなにないし、マシロは筋力なさそうだから軽装がいい。腕と足、あと胸と腰回りにつける奴な」
注文を受けたドラクロはすぐに店に並べられた品の中から安くて軽い女性用防具一式を取ってカウンターに並べた。
胸につけるチェストアーマー、腰につけるプレートメイル、手足用のガード。どれも安物とはいえドラクロが丹精込めて作った品々だ。
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