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移動距離によって額は異なるが、コーネリアからサルナまでだと片道3万から4万ゴールドが妥当な額だとマシロは考えていた。
「もちろんいいですとも! レディーの為ならどこへでも」
突然の依頼に渋い顔をされると思っていたが、予想に反してキースの返事は色よいものだった。
「本当ですか! ありがとうございます!」
マシロはぱっと表情を明るくして話を続ける。
「それで……お支払するお金の事なのですが」
手持ちの残りは3万ゴールドほど。急な仕事を依頼する立場としては相場よりも高い値段を払わなくてはいけないがそんな余裕はない。
その時、言いづらそうにしているマシロの様子を見てキースは微笑みながらこう言った。
「レディーがそんな顔してちゃいけませんよ。初乗りですし、お代は2万だけで結構です」
予想外にも彼が提示したのは相場よりも遥かに安い金額だったが、もちろん条件はそれだけではなかった。
「その代わりと言っては何ですが……今度お暇な時に私と一緒にお茶して頂けますか?」
それは体のいいデートのお誘いである。
見るからに軽そうで女性に見境の無さそうな印象の男と一緒に過ごすのは少々身の危険を感じるものの、その程度で割安になるならとマシロが首を縦に振ろうとした瞬間。
「高いんだよこのボケーーーーーッ!!」
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