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「な、な、何だよ! 暴力を振るう気か!?」
マシロとキースの驚きの声など無視してエヴァの銃口が空に向けられる。
「……エヴァ」
「了解。システム録音再生モード起動」
〝エルフのレディー、見た所お1人のようですね。もしもお暇でしたら僕の馬車でコーネリア観光でもご一緒に〟
クロイが引き金を引くと、EVE46の銃口から先程のキースが口にしたセリフの再生音が流れ出す。
「キース。1万で承諾しないなら……こいつをお前の妹に聞かせてやろう」
悪魔のように笑うクロイ。何が何だか解らず首を傾げるマシロ。
そしてキースは滝のような汗を流し、全身を振るわせる。
「それを……マリアに聞かせる気か?」
「そう、お兄ちゃんが好きすぎて頭のネジが外れちまったお前の残念な妹にだ」
「止せ。もう包丁を持った相手に1日中追い回されるのは嫌だ」
もう一度エヴァの引き金が引かれる。
〝エルフのレディー、見た所お1人のようですね。もしもお暇でしたら僕の馬車でコーネリア観光でもご一緒に〟
自分自身の声、自分自身の台詞を聞いてキースの顔面がどんどん青くなっていく。
「この街の奴らは皆知ってるぞ。盗賊よりも怒ったマリアの方が怖いってな」
「ちくしょう、お前は悪魔だ」
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