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強襲! 盗賊娘!
運び屋を雇ってから4時間後。
まだまだ多くの亜人種が行き交うコーネリアの南門前には馬車の手入れを終えたキースと愛馬クリケット、そしてクロイに頼まれて1人で南市場で食料や毛布などの旅に必要な買い物を終えたマシロが既に集合していた。
ここにいないのはただ1人。鑑定所に保管しているミューゼルの筆とオークション参加に必要な書類などを取ってくると言ってコーネリア北地区に戻っていったクロイ・ブラックのみである。
「それにしても遅いですね。クロイさん」
南市場で買ったものを馬車に詰め込み、テント付き荷台の中に入って鍛冶屋トヨトミで買った防具を装着しながらマシロが呟く。
購入時に忠告されたとおり胸のプレートメイルは体との間に不自然な空間を作り、腰の軽鎧は無理やり体を捻じ込まなければ装着できないサイズだった。
「……チッ」
胸とチェストプレートの隙間を忌々し気に見つめながら静かに舌打ちするマシロ。
「まったく自分で時間指定しておきながら遅刻とは、実にあいつらしい」
そう口にするのは馬車の運転席に腰かける運び屋キース・フォードだ。
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