勝手に封印ダメ、ゼッタイ

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 筋力が半分以下になる程長く寝たらしい。  私自身はいつの間に眠ったのか全く記憶がないのだが、とにかく意識がない間に、何者かに何かけったいな事をされたのは確定していた。  そう、目を覚ますと、私はスノーダストスワンの羽毛ベッドの上にはいなかった。視界が全くの暗黒に包まれており、全身が何か硬質で平らかなものの上に仰向けに横たえられていたのだ。おまけに何となく土臭くかび臭い。  (何だ此処は……何故こんな場所に? いや、そもそも此処は何処なんだ?)  体を動かそうとするも上手く力が入らなかったのもあり、訳の分からぬ状況に軽く恐慌をきたした私は、心拍数が上がり呼吸音がうるさくなるのを感じた。   すると、妙にそれが近距離で反響しているように聞こえたので、狭い場所に閉じ込められているらしい事にすぐさま気が付いた。  (これは……箱か? まさか、棺桶……)  一瞬よぎった不吉な考えに背筋が凍る。  私はいつ死んで生き返ったのだろうか。もしくはこれから焼却炉行きなのだろうか。それとも、死んだと誤解されたまま地中に埋まるのだろうか。  一つ目ならまだしも、残り二つだった場合が大変だ。脱出しないと本当に死んでしまう。  
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