0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
-前回までのあらすじ-
さらに激化する戦闘。蠢く、〈七つの大罪〉と呼ばれる七体のレベル5の影。連続児童誘拐事件は止まらず、警察は何の手がかりも見つけられていなかった。一方世間では、大人気ドラマ〈小学生探偵ドリアン〉が終了し、ドリロスが蔓延する。そしてユウキ達の元に、言語癌対策室名古屋支部のキャスター、琴浦ミコトが助っ人として来るのだが......。
▽
「え、えぇぇぇぇっっっ!!??」
レベル4のレーザー。オレの前に立ち塞がりそれを止めた少年は、物凄く見覚えのある顔だった。
「君って、ドリアン少年!?」
「あっれ、見てくれてたんだー!応援ありがとねー!」
身長よりも大きい大剣を盾代わりに地面に刺した彼は、ひらひらと手を振って笑った。
そう。先週で最終回を迎えた大人気ドラマ〈小学生探偵ドリアン〉の主人公、ドリアン少年を演じていた天才子役がそこにいた。
確か、名前は。
「琴浦ミコト......!」
「名前まで知っててくれてるんだぁ。さてはファンだなこのこの!」
クールなドリアンと、本人の性格はだいぶ違うようだが、すらっと伸びた手足と整った顔、特徴的なタレ目が確かに本人だと分からせる。
「まぁ待ってなよ。ちょっと終わらせて来るから」
大剣を抜くと、彼はレベル4に向かってゆっくりと歩いていった。
「ふん。新しいキャスターが来ようが変わらん。穴だらけになって死ね!」
腕の発射機関から乱射される光の柱。
真っ直ぐ彼に向かって飛んで行った柱は、
何の妨害もなく彼の胸を貫いた。
「なっ......!!」
幾本もの柱が次々と刺さる。
物に刺さるとそこに残るレベル4のレーザー。彼の身体は至る所を串刺しにされ、一つのオブジェのようになっている。
「こ、琴浦君!!」
「はーい?」
焦りと共に叫んだ名前に、やたら悠長な返事が返ってきた。
そう返したのは誰でもなく彼自身。全身串刺しの彼だった。
「能力、〈劇的な嘘〉。僕に与えられたダメージは、〈虚構世界〉へと強制転移させられる。因果がずれたこの世界は、何とか辻褄を合わせようとする」
「こんな風にね」と、自分に突き刺さった柱をパコッと一本取る。
するとそれは、中心が曲がり、そこに身体を挟み込むことでまるで刺さったかのように見せる、ハロウィンの仮装グッズの様になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!