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プロローグ
組織がある町、ヒストイ。そこの住人はいつでも組織に守られているという安心感からか、あまり防犯対策はなされていなかった。
わざわざあの組織がある町で犯罪をやらかすバカはいないだろう──なんて話す人もいる程だ。確かにヒストイでは、観光客に混じった物盗りがたまに現れる程度で、現れた際も即座に組織の人が駆けつけ、逮捕していた。
しかし、CC384年5月2日。そんなヒストイで殺人未遂事件が起きた。
被害者は二人。この二人の内片方が酔っぱらっており(彼をAさんとしよう)、もう片方(Bさんとする)に人気の無い裏路地で殴りかかっていた。Bさんが殺されるかもしれない、と半ば諦めていた時だった。キラリ、と輝く組織のエンブレムが見えた気がしたのだ。幻かもしれない──そう思いながらも必死に助けてくれ、と叫ぶと長い髪の女性はこちらにやって来た。
彼女は無言で銃を構え、発砲。見事にAさんの頭に当たり、彼は即死。やっと解放された、と安心しきって立ち上がったBさんは彼女にお礼を言おうと向かっていった。しかし──なぜか、彼女は銃を下ろさない。不思議に感じていると、銃を撃つ動作をした為、慌てて彼は避けた。肩を掠めはしたが、死なずに済んだ。女性は舌打ちをし、そのまま去っていった。
ヒストイで殺人事件が、しかも組織の人間と思われる女性が犯人かもしれない、という噂は町中にあっという間に広まった。せっかく高まっていた信頼は地に落ちたも同然だった。
だが、長・レオナルドは「年内に必ず犯人を捕まえてみせる。もし捕まらなければ、私は辞任する」という異例の声明文を発表。組織は、本格的な捜査に乗り出したのだった。
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