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これは捕まえるのが難しいだろうな、と私は諦める。リリカは恐らく、父親の元に身を寄せているはず。つまり、捕まえれば大変なこととなる。下手すれば紛争が起きかねない。それを分かっているからこそ、リリカの父親はキース家に協力したのだ。今頃国外に逃げているはずだ。
私はその部下にリリカについては諦めて帰宅するようメッセージを送る。──本当に、疲れた。確か明日は軍による組織の内部調査の日のはずだ。私は同行するようにと夫から言われている。
夕食は兄におごってもらおう──。そう思って2人の兄にメッセージを送って、私は近くのソファに横になり目をつぶった。
夕方。私は昼食も忘れ、長いこと眠っていた。まあ致し方ない。ここ最近は激務が続いていたのだから。
端末のメッセージを見ると、2人から返信が来ていた。──ジャスティお兄様とジルお兄様。2人は了承してくれた。場所は、近くのレストラン。特別なときにのみ利用する、完全予約制のちょっとお高いお店。全て個室だから、会議にも使われることがしばしばある。
私は髪を軽く整え、それから私服に着替える。3人で食事だなんて、いつ以来だろうか。ジャスティお兄様はあまり一緒に食事をしたがらない人だし、そもそもお父様の補佐で普段は忙しいはず。──もしかして、揃うのは初めて?
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