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1.潜入捜査
5月3日、早朝。私、アーリィ=トルテアは寮の自分の部屋ですやすやと寝ていたところを、寮の管理人であるナージャさんに起こされた。今日は休みのはずだけれど、間違えたかな。
私はのそのそと起き上がり、ナージャさんの言葉を待つ。
「長から緊急の呼び出しを先程あなた宛に受けましたよ。早く行かなきゃマズイのではないのですか」
「えっ」
眠かったはずの私の頭が一気に冴える。班長に呼び出されるのなら分かるけれど、長直々だなんてまずあり得ない。私、何かしたのかな……? まさか、仕事を押し付けたのがバレた、とか……?
ナージャさんは、私の頭を軽く撫でてから去っていった。──早く、行かなきゃ。
急いで着替え、私は寮を飛び出す。長の執務室があるのは総合本部の、えーと、3階。本部に入るなり普段は使わない文明の利器・えれべーたーとやらを使う。あっという間に3階に着き、一番近くにある執務室の扉をノックして返事も聞かずに入る。
「失礼します! 3班所属、アーリィ=トルテア、呼び出しを受けて参上しました! 」
「アーリィ、そんなに緊張しなくてもいいのよ」
「参上しました、って……アーリィ、面白いのね」
「……! 」
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