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深く礼をし、顔を上げた後声がした左右の方を見て、私は青ざめてしまう。──はわわ! ヤバいお方が、いらっしゃるではないか!
私の右にいるのが、ナナさん。私より一つ年上で、何とあのカスタンモーレ家(魔法使い五大名家の一つ)の娘だ。当主の養女ってだけで大したことはない、と本人は謙遜していたけれども私からすれば凄い立場だ。
そして左にいるのが、デロニアさん。ナナさんとは同い年で、二人は親友らしい。炎の魔法使いの最高位・ディアル家の娘で、将来は当主になるお方だとされている。
二人とも3班の中では異質すぎる存在で、平民の出が多いメンバーからはかなり浮いている。いわゆる高嶺の花扱いをされていたりもする。
そんな2人も呼び出しを受けた、ということは説教ではないのだろう。ますます訳が分からない。
とりあえず私は2人に挟まれる形でソファに座り、長からの説明を聞く。
「君たちを呼び出したのは、2班に潜入してほしいからなんだ」
「せ、潜入……? 」
「ああ。ほら、先日そこの町で事件があっただろう? あの犯人を見つけ出したくてね」
「それで2班、ですか。確かに見事なヘッドショットを決めたようですし、これは2班のメンバー以外ではあり得ませんよね」
「ていうか、潜入調査だなんて、回りくどいような気がしますけど……」
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