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2.推察
総合本部から出た後、3班本部に立ち寄った私はお父様に頼み込んで、特別にアーリィという少女についての書類を見せてもらった。想像どおり、彼女はとても平凡な人だった。
『アーリィ=トルテア。18歳。同じ3班に所属するギュースト=エクストリアの従妹である。これといった特徴はなく、トルテア家同様平凡な人間。注意点は特に無し。料理が出来ない事が唯一の欠点。寮の5階、一番奥の共同部屋(4人部屋)でこの春からレオナ=ローレンスと同居している。』
私は見終わり、お父様に書類を返す。
「満足したか、ナナ」
「うん、満足した」
「全く、今回だけだからな? バレたら私もお前もヤバいんだぞ」
「分かってるって! 」
でも、私はまだ腑に落ちないことがある。今回の任務には別にアーリィは必要なさそうな気がするのだ。料理が出来るのならまた別だけれど、そうではない。それなら、なぜ? それに、私とデロニアの補佐役にしては不十分過ぎる。
まあ、でも、いっか。とにかく事件さえ解決すればいいんだから。デロニアも気にしていたけれど、この件は後回しにしよう。
お父様にお金を渡し、部屋を出る。廊下ではデロニアが端末をいじりながら待っていた。
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