あの日の放課後

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 ユミは義務教育(ぎむきょういく)()わると同時(どうじ)就職(しゅうしょく)をした。  本好(ほんずき)きは()わらなかったが、作家になるなんて大それた夢は小学生の時にとうに捨てている。  仕事(しごと)をしながら勉強(べんきょう)をし、高卒認定試験(こうそつにんていしけん)合格(ごうかく)し、高卒の(わく)の仕事に()くことも出来るようになった。  ユミはそこそこに仕事は出来た。時には直接雇用(ちょくせつこよう)に、(ある)いは社員(しゃいん)にならないかとの(さそ)いもあったがどれもユミの(こころ)(うご)かさなかった。  (つね)に((なに)かが(ちがう)う)そんな思いに()られて、やったこともない職に()()んでいくのだ。そこに自分の(もと)めているものがあるかもしれないと期待(きたい)をして。  でも、そこにあるのはただ、日常(にちじょう)()ごすだけの日銭(ひぜに)(かせ)ぐ為の仕事だった。  何をやっても仕事が(つづ)かないユミはとうとう自殺未遂(じさつみすい)()こした。
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