あの日の放課後

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 気が付いたときは隔離(かくり)された病室(びょうしつ)一室(いっしつ)だった。  覚醒(かくせい)したことを医師(いし)に伝えられ、診察室(しんさつしつ)で診察を()けた。 「自殺をしようとしたの?それとも事故(じこ)?」  そんな質問(しつもん)がなんの意味(いみ)があるのだろう。事故だとしても、そんな危険(きけん)行為(こうい)をしたことで精神(せいしん)異常(いじょう)(みと)められるだけではないか。 「それはどちらを(えら)んでも(おな)じじゃないですか?」  (ぎゃく)()(かえ)した。 「そうだね、どちらを選んでも結果(けっか)は変わらないね」  にこにこと話しかける医師は(なお)も聞く。「自殺をしようとしたの?」と。 「そうですよ、明確(めいかく)意思(いし)でもって自殺しようとしました」  堂々(どうどう)と答えた。 「そう。じゃ、これからあなたは医療保護入院(いりょうほごにゅういん)と言うことになります、これね、確認事項(かくにんじこう)書いてあるから、()(とお)して入院承諾書(にゅういんしょうだくしょ)のサインをしてください」  そう手渡(てわた)されたのは『医療保護入院承諾書』というものだった。  ここで(あら)っても事態(じたい)()くならない。観念(かんねん)してサインをした。
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