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「んうぅ……っ!」
キ……、キスされてる……!
慌てて体を離そうとするが、やはり紫月の体はビクともしない。背後から痛いほどぎゅっと抱きしめられ、塞がれた唇を何度も吸われる。
「ん……っ、ふ……あ……」
なんで……。僕……、さっきからちゃんと断ってるのに!
混乱しながらも抵抗したが、それも空しく紫月に押さえ込まれる。力んでいた体にもやがて力が入らなくなっていく。
「ん……、う……っ」
ただ一方的に強く唇を押し付けられながら何度もそれを食まれ、吸われる。息が苦しくて、心臓が痛いくらい、ドクドクと鳴っている。男とキスをするなんて、こんな状況を朔は微塵にも望んでいなかった。だが、それを続けるほど、次第に脳の奥には痺れたような感覚が広がっていく。朔の意識は徐々にぼうっとして、体は熱く火照りはじめていた。
どうしよう……。抵抗しなきゃ……って思うのに、全然できない……。
散々唇を食まれるうちに、次第に頭がぼーっとして働かなくなっていく。その中で、ただ一つ、感じ取っているものは、心地よさよりももっと強く、何か本能をくすぐられるような感覚だった。快楽だ。紫月の執拗なまでのキスに、朔は少なからず快楽を得てしまっていると言って違いなかった。
「ん……っ」
唾液をたっぷりと含んだ紫月の舌が、朔の唇の間を強引に割って侵入して来る。思考を失いかけていた朔は、それをもすんなり受け入れてしまった。
「はぁ……んっ、ふ、あ……っ」
口の中は紫月の熱い舌で犯されながら、その手はゆっくりと朔の肌をなぞっていく。上へ下へと迷いながら着実に上へ向かっていく紫月の手はいやらしく、じっくりと触れた肌を丁寧に確かめながら、何かを探し求めているようだった。
「んっ……、んうぅ……」
や……、待って……!
紫月の手が、朔の肌を撫でながらゆっくり、ゆっくり這い上がって来る。そうかと思うとまた下がっていく。何も身に着けていない肌を手の平で、指の腹で撫で回され、朔はもどかしさを感じて、堪らずに声を漏らした。
「んう……っ」
唇が離される。紫月は朔の頬に口付け、耳元で囁いた。
「朔……、ちゃんと感じてるね……」
「紫月さん……、も、やめて……」
「ダメ、もう少し……」
紫月の指は、なおも朔の体を撫で続けた。腹の辺りから脇腹の方までくまなく肌を撫でられるうち、朔は次第にゾクゾクとした感覚を得ていく。
やがて、紫月の指は上へ下へと朔の肌を行き来しながら、胸元までやって来た。そこには胸の突起がぷくっと腫れ上がるように首を出している。敏感になってしまったその部分に指の腹が一瞬触れると、朔の体はビクッと震えた。ゆっくり、何度も胸の尖りを撫でられながら、初めて味わう快楽に、朔は堪え切れずに声を上げる。
「ん……、ふぁ……」
僕は男なのに……。こんなことされて、感じるなんて……。
頭ではそう思っても、朔の体は間違いなく、さっきよりも熱を帯びていた。強引に深く濃密なキスをされながら、ピンと尖ってしまった胸の突起を相変わらず執拗に指先で撫でられる。もう一刻も早く止めてほしいと願う一方で、途方もない恥ずかしさと共に得る快楽に、朔はそのまま、身を任せてみたくもなった。
どうしよう……。ちょっと……変な気分になってきちゃった……。
体の内側では、溜まった熱が膨らみながら渦を巻き、こみ上げてくるようだった。いつの間にか、スラックスを穿いたままの股間は膨らんでしまっている。下着とスラックスに締め付けられ、そこには今、ヒリヒリとした痛みすらあった。
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