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「率直に聞こう、ロレンス少尉」
一九一六年、十月。カイロ。
イギリス外務省アラブ局の一室で、深く腰掛けたままのクレイトン情報部長に声をかけられ、トマス・エドワード・ロレンスは昂然と顔をあげた。
「今年六月から続いている、オスマントルコに対するアラブ人たちの叛乱は、成功すると思うかね」
「まだ、わかりません」
「君も承知の通り、連合国軍の戦況は芳しくない。西部戦線は膠着状態、いや、はっきり言って我々のほうが押されている。インド方面からの対トルコ戦も、残念ながら失敗に終わった。どうしてもこの戦局を打開したいのだ。トルコ軍を内側から切り崩すために、イギリス軍は現地のアラブ人をより積極的に支援する方針を固めた」
どこからともなく入ってきたハエが、羽音を立ててロレンスの鼻先を横切る。
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