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「おい神崎、今のは言い過ぎだぞ。岩瀬は気が小さいんだから追い込むような言い方は控えろ」
柏木が俺を睨みつけながら言った。その瞳には怒りだけでなく動揺が見られた
「悪かった。だが彼女はお前が思っているほど小心者ではないと思うぞ」
「え?さっきだって半泣きだったじゃないか」
柏木は俺の発言にさらに動揺していた
「半泣きだろうが何だろうが、あの状況で監督室に飛び込んでこれるのは大したもんだろ」
「確かに、私もどうしたらいいのか分からなくて立ち尽くしていました」
美咲先生が振り絞るように言った
「あんな大人の言い争いなんて子供にとっちゃ近寄りがたいもんだ。彼女に対して過小評価をしてたみたいだ。柏木も俺も」
「少なくとも俺は指導者には向いてないかもな」
そう言って俺は監督室で一つ大きな伸びをした
「すまない。俺は彼女に対して何も理解できていなかったみたいだ」
柏木が絞り出すように言った
「いや、俺も言い方が悪かったのは事実だ。そこは直さなければならないな」
俺も柏木に続けていった
「とりあえず...仲直りってことで良いんですかね?」
美咲先生が恐る恐る聞いてきた
「ええ、約10年ぶりの喧嘩と仲直りです」
柏木が頭を掻きながら言った
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