プロローグ テイクオーバー

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柏木涼太 俺はいつもこいつの背中を追い続けた こいつと初めて勝負したのは中3の時だった 県でも有数の強豪校でエースだった俺がぽっと出の野球部上がりに負けたのだ 大会当日のアップの際に奴の走りが目に入った。悪い意味でだ 腕を抱え込んで胸を突き出したような「素人走り」 内心笑ってしまった よくこんな奴が県大会まで上がってこれたな しかしどうだ。レースが始まると奴はその「素人走り」で優勝したのだ しかも一度も誰にも先頭を譲らなかった完全優勝でだ 思えばこの時からだったと思う。俺が才能という言葉を意識しだしたのは レース後奴は監督にこう言っていた 「イヤー大会記録切れませんでした」 はなから俺たちは目になかったのである
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