プロローグ テイクオーバー

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「久しぶりだな柏木。少し太ったか?」 「まあ引退してから6年たつからなあ。お前は相変わらずだな。まだ走ってるだろ」 高校を卒業した後柏木は関東の有力校の誘いを蹴って北海道の地方大学に進学したのだ しかも陸上推薦ではなく、一般試験でだ なぜそのような暴挙に出たのか聞いても柏木は教えてくれなかった 俺は興味がなくて聞かなかったというのが正しいが 一応北海道でも陸上を続けていたらしいがやはり関東と地方では実力差が広がるらしく 奴の名前はほとんど聞かなくなった 最後にあったのは秋の伊勢での大会の時だった その時も奴はこんな感じの笑顔で歩み寄って来たのを思い出す 「一応フリーで走ってるよ」 「とりあえず飯いくべ!車止めてるからさ!あ、荷物持つよ」 そう言って柏木は俺の持っていたキャリーバックを半ば強引に手に取った 「ありがとう」 俺がそう言うと柏木はニッと笑って 「こっちに駐車場あるから行こう!」 とキャリーバックをゴロゴロと引きずっていった
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