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店内に入ると、眩しくて思わず目を細めてしまうくらいに煌びやかな彩り豊かなドレスがずらりと並んでいた。
中にいる店員数人が並んでおり、真ん中にいる代表者がニコリと笑みを浮かべて丁寧な挨拶をしてくれた。
「ようこそおいでくださいました。
オーナーからのご紹介を賜りました。
ルクセーヌ店で支配人を務めさせて頂いております。ソフィアと申します。
どうぞこちらへ」
案内された試着室には、サリエルの足に合うサイズの靴が並べて置いてある。
(靴まで用意してもらったのね…)
この店員の方々やフランツお兄様が私の為に急に作った時間を考え、早く選んでしまおうと思ったが
目ぼしいドレスを選んで数人がかりで着付けてもらい、試着が終わって外で待つフランツに見せると「うん、似合ってるよ」と言って笑うフランツに店員達は頬を赤らめ、試着室内ではモチベーションの上がってゆく店員の方々に更に、そして更に更に素敵なドレスを見繕っていただく流れになり、なかなか決まらなかった。
最終的にはサリエルのごり押しでようやくドレスが決まった。
「良いのが見つかって良かったね」
「ぇえ、素敵なドレスばかりで楽しかったですわ。有難うございました」
(後半ちょっと疲労が出てしまいましたが…)
「他に必要な品々は後日屋敷の使用人に商人を手配するよう伝えておくよ」
(え?)
僅かに驚いたサリエルの手をとって、
フランツは店員の方に挨拶をして店を出た。
「お兄様…あの。何故ドレスだけ現地調達なのですか?」
「そうだね…何となくかな」
「何となく…?」
「前に言っていただろう。
僕とお出かけしたいって。だから丁度良いかなと思ったんだ」
「私、そんなこと言ってませんわ」
「言ってくれていたよ」
振り返ったフランツの顔は、はっとするくらいに綺麗で、晴天の澄み渡る青空を背にして光の粒を銀の髪に纏わり付かせているその姿に、何故か頬が赤くなって胸が切なくきゅっと締め付けられた。
誤魔化すように辺りを見渡してみると、高原の広がるこの街は、家に蔓延るツタの葉が物語の中に出てくる街を彷彿とさせる。
街の中は賑やかで、小さなお祭りをやっているところだったのかパイを投げ合っていた。
飲み物を店先で販売していたので、今世では初めて歩き飲みと言うものを経験出来たり、木で出来たボーリングピンで景品をかけているゲームがあったり、羊のクイズなども行われているし、幼年の子供達でちょっとした劇などを催していたのだが、出来が思いの外良かった物だから感動してしまった。
「サリエル、少し疲れたろう。あそこの木陰で休んで行こうか」
広い高原の中でも、一際大きな木下は日陰になっている。
そこに腰を落ち着けると、街の子供達がボールで遊んでいるのが目に入ってきて、とてものどかで、住み良い街なのだろうと思えた。
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