波乱の舞踏会幕開け

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波乱の舞踏会幕開け

ーーーーー ーーーーーーー 《メリルside》 それは突然だった。 メリルは己の魔法が使用された事に気付いた瞬間、肩に入っていた力が抜けてゆくのがわかった。 (サリエルに好感を抱いていた時の記憶をフランツから消す為の忘却魔法が発動した) 預言者から教えてもらっていた物語が全然上手く進まなかった事で、焦り煮詰まっている最中の事、やっと状況を理解したあの女が言うことを聞いてくれたのだ。 特にフランツルートはスタートすらもしておらず、あまつさえメリルの知らない間に預言者が用意してくれた計画を潰していたようだ。 何故そうなってしまったのかは分からないけど、攻略対象者の中でもあの女に味方されたら1番厄介な人物だという事は身に染みていたし、私の前世で初恋だった人。 あの人に出会ってから何も上手くいかなくなった。 前世では誰にも見向きもされない王女に尽くしていた優しい騎士だった彼の事だ。 そして今世でも。いくら神が罰として歪み合うようお膳立てしても、同じ家に住んでいる年下のか弱い義妹に情が湧いてしまったのかもしれない。 だけど (これで、揃う。私のものが) 攻略対象者の4人はこの世界で最も影響のある魔力を持つ4人。どれも皆が羨む容姿に地位を手にしており その4人全てに愛されれば前世で失ったものが全て私の手に返ってきて、前世で遂げられなかった思いも遂げられるどころか、私を巡って争いが始まるだろう。 皆に羨ましがられるほどの地位・美貌をもつ彼等は私を巡ってどんな争いを見せてくれるんだろう。 フランツには前世も今世でも散々プライドを傷つけられた。今度は貴方が私に恋焦がれれば良い。 私は既に前世で貴方を諦め、別の人に恋をしている。また私が貴方に恋をするなんて思わない事ね。 いくら私に焦がれても、私の心は手に入らないと絶望したら良いのよ。 他の攻略対象とのイチャイチャを目の前でやってやるんだから。 貴方はその時どんな顔するのかしら。 輝ける自分の未来を考えるだけで、ゾクゾクして萎えかけていたやる気も湧いてきた。 本来の私に、やっと戻れる。 今度こそ私がこの世界の愛されるヒロインとしての物語が始まるのだ。 「まずは、出会わないと…ーね」 (失敗しない為にも、ちゃんと考えて動かないとね。急いで予言者に連絡よ) 連絡手段の水晶玉を用意して、メリルは預言者を呼び出した。 事情を話せば、あまり食い付きの良く無い反応。何でも預言者は「今更な気もするが…」という。 今更ってなに?今からでも良い事じゃ無い。 私は皆に愛される為に生まれてきた。 あの女は罰を受けるために生まれてきた。 この世の理が、正常に戻ろうとしているのよ? 「ー…だが、まぁ。事態はこちらに好転していくだろう」 預言者の言葉に励まされ、更に心が晴れてゆくメリルはその日狂わされた運命を戻してゆく為の予言書を手渡された。 「舞踏会イベントの修正?」 メリルは手渡された予言書を読み上げる。 ーーーー ーーーーーー ーーーーーーーーーーーー
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