決められた人生

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 私には、前世の記憶が断片的にある。  それが前世の記憶だと確信したのはいつだったかは、覚えていないけれどーー… 6歳の誕生日を迎える私は知っていた。  私の前世は、人見知りで引きこもりの姉の影響を受けて漫画やゲームにはまっていた。  中でも、姉の勧めてくる恋愛シミュレーションゲームは私の胸をときめかせてくれ、自分がヒロインだったら…なんて妄想もしたこともあるのだ。  そんなこんなで高校生最後の夏、家族旅行で海水浴をして私は溺れてしまった。  その後、目が覚めた時には  私はサリエル・ミューラとして生を受けていた。  姉とハマった恋愛シミュレーションゲームの恋敵、醜悪で意地悪な悪役令嬢サリエル・ミューラとして。  そう、私の人生は一度終わってしまったのだ。  加えて二度めの人生は、私が一体前世でどんな悪行を働いたのかという不幸確実のポジションだった。  前世では若くして死んでしまったが、現世でも若くして死んでしまうだろう。  もし生きながらえても、絶望にたたきのめされる。  誰にも愛想尽かされ、辺境の地へただ向かわなくてはならない。  何故なら、恋愛シミュレーションゲームにおける、サリエル・ミューラの選択肢は2つ。 ・身分剥奪の上追放 ・死亡  このどちらかである。
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