決められた人生

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  私の望みはただ1つ 穏やかな老後を迎え、幸福に包まれながら老衰で死ぬ事だ。 それが如何に大変であるかは、身をもって知っている。   今度こそ私は、私はー… ー.コンコン  ドアをノックする音に  私は本の頁をめくる手を止めて、ドアを見つめた。 「サリー 話があるんだ。入るよ」 「はい、お父様」  父がドアを開けると、近くにあった椅子をサリエルの前に持ってきて座る。 「また本を読んでいたのか、 君は本が好きだねサリー」 「本は私の知らない事を沢山教えてくれます 空に架かる虹が太陽の光で出来ていたり、草が呼吸している事も、本を読んで初めて知りました。 メアリーに言ったらメアリーも知らなかったとびっくりしていました」 ニコニコと話す私に、父は「そうか」と返して何処か満足そうだった。 「サリー、今度の6歳の誕生日に紹介したい人がいる」 「紹介したい人?」 「ああ、おまえに相応しい婚約者がいるんだ。 サリアロス公爵バージェス・ベジスミンのご子息 ラウル・ベジスミンという、サリエルと同い年の子だ」
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