猫に小判

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『…………』  正直、私には全く関係のない話だ。  それよりもとにかく今の私は、『蛇口』から目の前の勢いよく流れる水をどうやって飲むか……が先決だ。  水は飲みたいが、自分自身は濡れたくはない。 『さて、どうしたものかしら』  様々なシミュレーションを頭の中で実行したが……どれも上手くいかない。どう考えても濡れてしまう。  そう思いながら四苦八苦していると…… 『あら?』  何の前触れもなく、水が止まった。 『んー?』  あまりに突然の出来事に私は思わず、ムッとした表情で上を見た。しかし、私はキョトンとした表情になった。でも、次の瞬間。 『あらあら……』  物珍しい表情で、さらに見つめた。  なぜなら、私の視線の先にいたのは……ついさっきあの『絵画コンクールのチラシ』を捨て行った……あの人間だったからだ。 ◆  ◆  ◆ 『美咲は本当に絵が好きね』 『うん! 大好き!』  物心をついた時から私は『絵』をよく書いていた。
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