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扉を開けると、近くでテッドが動かなくなっていた。
いや、近寄るとイビキが聞こえてくる。
よくこんな気味悪い森の中で寝られるよな…。
「んあ?終わったの?」
足で小突くと、フラフラしながら立ち上がる。
俺も少し眠くなってるな…。
「もう今日は遅いし、泊まってく?そこの仮面の奴も納屋でいいなら寝床あるけど?」
「おっ!マジ…んごぉあ!?」
俺は慌てて同意しようとしたテッドの仮面ごと口を押さえ「ガァガァ!」と横に首を振る。
「いいの?遠慮しなくていいのにさ~。仕事熱心だね~」
「ガ…ガァガ」
まあな、とテッドの口を押さえたまま、さっさと森を出る。「行ってらっしゃい」と手を振るルディに別れを告げ、いざ王都へ。
「ぶはぁ!!ゲホッゲホッ!!な…なんだよ!?いいじゃねぇか泊めてくれるっつんなら…」
森を抜け、王都まで伸びる街道に出た辺りでテッドを解放した。
そして面倒だが丁寧に文字で説明する。
"魔女の家に泊まる"ということがどういうことなのかを。
無事に朝を迎えられるとは限らない。
実際、何回目かの訪問の際に、せっかくだからと一泊した。それが間違いだった。
朝起きると、アルマは拘束具でガッチガチに固められた上で逆さ吊りにされ(爆睡)、俺はというと何故か裸で手術台の上にいて………。
…ダメだ。
思い出しただけでも震えが止まらねぇ…。
だがテッドには伝わったようだ。
仮面の笑顔がなんでか恐怖に染まったように見える。
「だ…旦那。先を急ぎましょうか…」
俺は大きく頷いて、歩き出した。
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