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王都へと続く街道。
それもまたルージュ街道と呼ばれている。
陸路からの貿易の架け橋、商人街道とも言われ、綺麗に整備された石畳みの道は、多くの人々が行き交う南の大陸を象徴する街道だ。
だが今は真夜中。
ちらほら人とすれ違うが、こっちを気にする様子もない。テッドにすら無関心だ。
明るいうちは警護隊が目を光らせているが、夜になると魔物も出る。こんな時間にここを歩く奴らなんて、貧乏冒険者か盗賊か酔っ払いぐらいか。
「旦那ぁ…いいのか?こんなに堂々と歩いてもよ…」
「ガウ」
それにルディに貰った腕輪の効力だろうか?
こんな夜更けに子供っぽいのが二人、それでも襲われないのだからおそらくそうだろう。
この腕輪はたぶん仲間にも効果がある。
まあ、正しくは使用者が仲間と認識している相手にも、だな。
何人まで有効なのかわからないが、少なくともテッドにも俺と同じように隠密効果が出ているようだ。
さすがは魔女に貰った魔道具ってとこか。
「まあ、旦那が大丈夫なら大丈夫なんだろな」
どういう意味で?
「そういや、ルファスの奴はどうしたか聞いたか?」
「………?」
っ!!!!!!!
俺はピタッと歩みを止め、固まった。
「えっ!?まさか何も聞いてないのかよ!?旦那の相棒だろ!?」
いや相棒でもなんでもないが…。
そうか。何か聞き忘れていると思ったらルファスのことだ…。
うっかりだ。
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