11227人が本棚に入れています
本棚に追加
/2201ページ
太陽が山を追い越す。
街道にはもう朝の雰囲気が漂い、行き交う人々の数も増えてきた。
そのほとんどが大荷物を抱えている。
商人街道と言われる所以だ。
王都近くには屋台も開かれ、昨夜は無かったテントまで張られてある。
「夜と全く違うなぁ~。こんな朝早くからもう商売してるぜ旦那!」
テッドは物珍しいのか、キョロキョロと落ち着かない。
「うわぁ~外壁の門の下見てみろよ!すげぇ人だかりだぜ!」
うるさいな…。検問してるだけだろ~。
王都を囲う外壁のさらに外側は深い堀があり、街の出入り口である門にたどり着くには橋を渡らないといけない。その橋が今にも倒壊するんじゃねぇか?ってぐらいに人が並んでいる。
「旦那、アレに並ぶのか!?ありゃ相当待つぜ…」
「ガウ…」
そうだな。だが並ぶなんて面倒なことはしない。
「だ…旦那!?いくらなんでも…」
俺は心配するテッドを余所目に、列を無視してテクテクと歩いて行き、何事もないように門兵の横を通過する。
テッドも「いいの?いいの?」とか言いながらついてきた。
魔女さまさまだな。
探知魔法も突破する魔道具…。呪われてねぇよな?
「ひぇ~!!なんか…。なんでだろう…。妙な罪悪感があるぜぇ…」
まあ…わからんでもない。
だが見つかって面倒になるよりはマシだ。
最初のコメントを投稿しよう!