13.死闘

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しばらく時間が止まる。 テッド…。風邪じゃないんだけど、生きるか死ぬかの勝負の世界に… 「ははははは!!魔物が風邪を引くのですか!?あははは!!」 「何がおかしいってんだよ!!」 グラハムは大笑いをする。だがすぐに真顔に戻り、 「テッドくん、この世界で生き残る為にはそういう甘いことを言っていてはダメなんですよ。相手が弱った時こそ好機。卑怯なんて言葉は存在しない」 と諭すような声で言った。 「まぁ、こいつの動きがおかしいのは最初から気づいていた。前に会った時の方がまだ強かったぜ」 レイドにも気づかれていたか。まあそりゃそうだわな。 「でも、てめぇらは全力の旦那に勝ちてぇんじゃねぇのかよ!?プライドってもんはどうした!!」 「任務は全てに優先する」 「っ!!なんだと…!?」 「シャクだがグラハムの言う通りだぜ?そりゃこいつの全力は見たいけどよ…。俺のワガママでこれ以上、脅威を野放しにはできねぇ…」 正論だな。 グラハムの言う通り、この世界に卑怯なんて言葉は存在しない。敵への情けも、命取りになる。 現に今の俺がそうだ。 俺ならなんとかなるって自惚れがこの窮地を招いたんだ。自業自得ってやつだな。 自覚した途端にこれか…。終わってんな…。 「さあ、どきな。ガキは下がってろ」 レイドは構え直し、また殺気を帯びる。
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