13.死闘

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※※※※※※※※※※※※※※※ 「なっ!?」 グラハムのナイフは空を切った。 そこにいたはずのガルは消えている。 「新手か!?どこに…!!」 グラハムは辺りを見渡すが、そこには拘束魔法で動けなくなっているテッドしかいない。 「仮面の、逃げるぞ」 「この声…ルファスか!?」 テッドは未だ姿が見えない魔族の声を聞いた。 グラハムと同じように辺りを探す。 すると、 「なんだ?この猫」 猫が一匹、テッドの側にいた。 いや、猫にしては目つきが悪い。それに少しでかい。 「まさか…お前??」 グラハムは突然現れた猫を見つけるが、まだそれが何かはわかっていなかった。 だが、確かにテッドに話しかけている。 「魔獣ですか?でも喋るなんて聞いたことは…」 猫?魔獣? テッドはどちらにしろ、頭が混乱する。 この声は間違いなくルファスだ。でも目の前にいるのは…。 「ふん。この借りはガル殿が必ず返す。覚えておけ」 ルファスは悪役が言いそうな台詞を吐いて、「転移」と唱えた。 「待っ!!!!」 テッドとその猫の魔獣は光に包まれて、消えた。 残されたグラハムは、悔しさを隠せない。 あと一歩だったのに…。まさか魔獣を飼っていたとは。しかも話をする魔獣だ。 つくづく規格外な相手だ、とグラハムは痛感する。 と、そこで思い出した。 「いてててて…」 「大丈夫ですか?レイド」 崩れた岩を除けながら、レイドが起き上がってきた。 「アバラが何本か。俺の回復魔法じゃ治りが遅ぇ」 「ふふ…。大丈夫そうですね。あの魔獣は?」 「魔獣?なんだそれ?」
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