11230人が本棚に入れています
本棚に追加
/2201ページ
「見てなかったんですか…」
「すまねぇ…。また逃げられちまったみたいだな…」
「あのゴブリンの最後の力…。あれがあいつの本気ですか?」
「ああ…。もしあいつの体調が万全だったらって考えるとゾッとするね…」
レイドは折れた自分の剣を見る。グラハムも予想以上の力の差を感じていた。
それと同時に、ある違和感にも気づく。
「なぜ、あなたを生かした?あれは確実にやられたと思いましたよ」
「ああ…。俺もさすがに死を覚悟したぜ。だがあの野郎…また情けをかけられちまった」
あの状況で、しかも魔物が人間相手に情けをかける理由は?そもそも、なぜ王都を目指した?
…わからない。
「ま、せっかく拾った命だ。次こそは…」
「レイド。何を言っているのですか」
「あん?」
「我々は任務を失敗した。それも先走って戦闘を行ったあげく、逃げられたんです。この意味がわかりますか?」
「う…。降格か?」
「それだけで済めば良いですが…。私はともかく、最悪、除名処分も考えられますね」
「ははは!それはそれで動きやすいぜ?一からやり直して絶対あいつを捕まえてやる」
グラハムはため息をついて、本部へ連絡するために通信用魔道具を取り出す。
「こりゃ師匠に会いに行って鍛え直してもらわねぇとな…。今のままじゃ勝てねぇ。はは…。この歳で挑戦者か。悪くねぇ…」
グラハムが報告をしている傍ら、レイドは静かに決意を固めていた。
※※※※※※※※※※※※※※※
最初のコメントを投稿しよう!