13.死闘

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「見てなかったんですか…」 「すまねぇ…。また逃げられちまったみたいだな…」 「あのゴブリンの最後の力…。あれがあいつの本気ですか?」 「ああ…。もしあいつの体調が万全だったらって考えるとゾッとするね…」 レイドは折れた自分の剣を見る。グラハムも予想以上の力の差を感じていた。 それと同時に、ある違和感にも気づく。 「なぜ、あなたを生かした?あれは確実にやられたと思いましたよ」 「ああ…。俺もさすがに死を覚悟したぜ。だがあの野郎…また情けをかけられちまった」 あの状況で、しかも魔物が人間相手に情けをかける理由は?そもそも、なぜ王都を目指した? …わからない。 「ま、せっかく拾った命だ。次こそは…」 「レイド。何を言っているのですか」 「あん?」 「我々は任務を失敗した。それも先走って戦闘を行ったあげく、逃げられたんです。この意味がわかりますか?」 「う…。降格か?」 「それだけで済めば良いですが…。私はともかく、最悪、除名処分も考えられますね」 「ははは!それはそれで動きやすいぜ?一からやり直して絶対あいつを捕まえてやる」 グラハムはため息をついて、本部へ連絡するために通信用魔道具を取り出す。 「こりゃ師匠に会いに行って鍛え直してもらわねぇとな…。今のままじゃ勝てねぇ。はは…。この歳で挑戦者か。悪くねぇ…」 グラハムが報告をしている傍ら、レイドは静かに決意を固めていた。 ※※※※※※※※※※※※※※※
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