14.残酷な現実

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ーーーバニラの匂いがする。 俺はゆっくりと目を開けた。 見慣れない天井だな。ここは…ルディの家か? はは…。拘束はされてねぇみたいだ。 つかあの状況でどうやってここに? いないはずのルファスの声が聞こえたまでは覚えている。すっかりあいつをアテにしてるよな。 「あ!旦那起きたのか!?」 寝起きには少し耳障りな声の方へ顔を向けると、テッドがいた。元気でなにより。お前がここに連れて来たのか? 「ちょっと待ってろよ!今ルディとルファス呼んでくらぁ」 テッドはそう言って部屋を出ていった。 ルファス…? やはりあの時の声は幻聴でも聞き間違いでもなく奴の声だったのか。なんだ。戻ってきたのか。 まぁ確かにあの状況をひっくり返せるとしたらルファスしかいない。 これで二度、命を救われた。でも前回はルファスのせいだが…。 俺はなんとか体を起こす。 ルディが看病してくれたんだろう。傍らには薬のような粉と、水…?の入ったコップが置かれていた。 とりあえず喉がカラカラだ。俺はそれを一気に飲み干す。 よかった。ただの水だ。 「うむ。だいぶ回復したようだな」 急に横からルファスの声がして、ビックリした。 あれ?いない? 「下だ」 下? そこには猫がいた。 やけに目つきの悪い猫だ。それにでかい。 って…え??? 「ガゥ?」 「仮の姿だ。すまないな」
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