14.残酷な現実

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魔王デルグリム。 正直、漆黒の闇以上に厄介な相手だった。 こいつの幹部に仲間も殺され、俺も深傷を負った。 アルマの神聖魔法がなければ全滅していたかもしれない。 とどめは俺が刺したけどさ…。 「アレは私の兄だ」 ええええええええ…。 「ふふふ。いいのだ。アレのせいで私もずいぶん苦しめられた。アレは葬られて当然の存在。恨みなどあるはずもない」 「でも家族だろ?」 「人間の家族と一緒にするでない。…いや、ある意味人間の家族と遜色ないのかもしれん。嫉妬に晒され、私は一族から疎まれ、はぐれ魔族となった」 なんか…。意外と複雑な家庭環境だったんだな…。 あとそれでか。ルファスが魔族らしくない魔族と感じたのは。 人間と遜色ない…か。 確かに貴族の家庭を見ると、似てるようなところもあるかもしれない。 「だが死神とはな」 「ん?」 死神? 「ガル殿の話を信じるなら、お前は我々の間でそう呼ばれていた。命拾いをしたのは私の方だったようだ」 「ジョークだよな?」 「ははは!それほどガル殿は我々にとって脅威だったのだ。褒め言葉と受け取ってもらいたい」 はは…笑えねぇ。 「お互いの経緯はわかった。これからどうするのだ?」 決まってんだろ。 「アルマに会うのは変わらねえ。結婚した…ってことも直接会って確かめねぇと気が済まねぇ…」 「それだけの為に命をかけるか」 「それだけが生きる糧だったんだよ。今はな」
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