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「会議は終わったようです。我々も城に戻り、指示を仰ぎましょう」
「先に行けよ。一服してくらぁ…」
「はぁ…ほどほどに」
レイドは綺麗に整った庭の片隅で、火石を使って葉巻に火をつける。
ふと生き物の気配を感じ、その方向に顔を向けた。
「猫?」
少し大きな猫だ。一度こちらを見て立ち止まると、庭の奥へと逃げていった。あっちはダイル元王の離れの寝室がある。
「ダイル様の飼い猫か?見たことないな…」
グラハムから、あのゴブリンは猫の魔獣を従えていた、と聞いた。だがそんなはずはない。魔獣ならば魔力探知に引っかかる。ただの猫だろう…。
そういえばあいつ、今どうしてるのか…。
あのゴブリンの出現も、今活発になっている魔物の動きや竜と何か関係しているのか?
「どうでもいいか。今は奴に勝つことだけを考えろ…次こそ、絶対に…」
ガルへの再戦を待ち望みながら、今は葉巻を堪能していた。
※※※※※※※※※※※※※※※
「ぶぇーーーーっくしょん!!!」
あーー。まだ本調子じゃねぇのかな…?
俺の目の前には、文字通り虫の息となった大蜘蛛が仰向けに倒れている。
足は全部斬り落とした。
すまない、と思っている。
目も、全部潰した。
反省、はしている。後悔はしていない。
だが死んではいない……はず。
とりあえず、暴走は食い止めた。しっかしあんだけの戦闘で上の連中に気づかれてねぇのかな?
まあ、とにかく侵入者を探さねぇと…。
侵入者が侵入者を探すってわけわかんねぇな…。
ルファスが無事、ダイルに会えればいいが…。
ま、そこは相棒を信じるしかないな。猫だけど。
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