11227人が本棚に入れています
本棚に追加
/2201ページ
大蜘蛛が転がっている部屋から出て、魔物使いの様子を見ると、静かに寝息を立てていた。さっきは苦しそうにしていたが、だいぶ落ち着いたのだろう。そのうち目を覚ましそうだ。
俺はそのまま上へと通じる階段を上がる。
城の入り口である扉にたどり着くまでに、城の騎士たちの死体が何体も転がっていた。そのどれもが一撃でやられていた。
「かなりの使い手だな。あの二人より強いんじゃね?」
二人とはレイドとグラハムのことだ。
今頃、俺のせいで懲罰を受けているだろう。
任務失敗はギルドの存亡を脅かすとんでもない事態だ。俺にどれほどのランクが付いているかは知らないが、上位ランクになればなるほど、任務失敗の責任は大きくなる。下手したら除名処分もの。
「ま、俺の言い分も聞かず襲いかかる向こうが悪い。知ーらね」
ボソリと呟きながら、恐る恐る扉を開ける。
さすがに人の気配がしてきた。
地下ならともかく、城の中で戦闘になれば見つかるだろう。侵入者は痕跡を残さず標的へと進んでいるようだ。
窓の向こうは夜だった。会議はもう終わった頃か?
だとしたら大陸の代表は客室へと戻っているはず。王は寝室か…。もしくは…。
侵入者の標的がジョルジュなら城の二階にある王の寝室へと向かうはず。
正直、見つかる危険を犯してまで助ける義理もない。
それに、いくら腕の立つ暗殺者とはいえ、天騎士や聖騎士といった奴らを相手に王を討ち取るなんて不可能だ。
最初のコメントを投稿しよう!