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少し迷ったが、騒動が起きる前にアルマに会うことに決めた。大陸の代表なら女王であるアルマが来ていないわけがない。
以前会議があった時、中央大陸の代表は城の南を客室に使っていたので、そこを目指すことにした。
俺は窓を開けて、城の外に出た。壁の窪みに手をかけ、よじ登る。
南の…確か二階か三階だったと思うんだけど…。
気配を最大限に消して、昔、隠密任務に就いていた頃を思い出しながら壁を這っていく。
下を見ると、見回りの兵士がチラホラと…。
その上をしばらくよじ登って進んでいると、二階のテラスから話し声が聞こえてきた。俺はテラスの下に忍び込んで、聞き耳を立てる。
「ーーーエレナ様には困ったものだ。また城を抜け出したらしいぞ。これで何回目だ?」
「あのじゃじゃ馬は誰も止められまい。ヴィルムのジジイは寿命が縮むとか漏らしてたぜ」
「はっはっは!いつかポックリ逝くんじゃねぇか?さっき戻って来た時疲れた顔をしてたからな」
「ジョルジュ様は姫にご執心だからな…俺だったら東のユヅキ様の方が好みなんだけど」
「お前の好みなんか知るかよ。それに、中央と繋がりが持てれば、ここ南の地位も盤石だ。案外、それが目的かもな?」
「おっと!噂をすればなんとやらだ。ジョルジュ様だぜ」
えっ!?
話していた騎士風の男二人は窓側の見張りだったようだ。二人が部屋の方に向きを変えたのを確認して、俺もテラスの下から、部屋を覗く。
遠目に見えたのは、派手な格好に身を包んだ青年、大きくなったジョルジュだった。どこか、子供の頃の面影が残っている。なかなかイケメンじゃねーか。
するといきなり、ジョルジュは話しかけていた執事の頬を叩いた。叩かれた本人は、しきりに頭を下げている。
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