11228人が本棚に入れています
本棚に追加
/2201ページ
「はぁ…はぁ…」
レイドも、次が最後の一撃となる覚悟だった。
そして、出し惜しみしても無駄だと今まで隠していた能力を解放する。
スキル『電光石火』
あまりのスピードに、使用者でさえ制御できない諸刃の剣。タイミングをしくじれば、そのスピード故に相手の攻撃を何倍もの威力で受けてしまうことになりかねない。
レイドは剣を鞘に納めると、居合いの構えを見せる。
スキル使用は一瞬、抜刀の瞬間のみ。
一度深呼吸をして、ジェネラスの初動に全神経を集中させた。
二人の間に、静寂が訪れる。
そして…。
「ふん!!」
ジェネラスはその場から消える。
レイドはスキルを発動、自分の間合い全てに狙いを定め、剣を抜き振り上げた!
ガキィィィン…!!と、互いの体が交差し、そして離れた!!
「っ!?」
ジェネラスは頭を覆っている兜が吹き飛び、頬に切り傷を負った。驚きの表情で後ろを振り返る。
だがレイドは、剣を振り抜いた格好のまま、血を吐いて倒れてしまった。
手応えはほぼない。
敵ながら素晴らしい速さだ、とジェネラスは惜しみない賛辞を贈る。
それでも、レイドにとっては充分だった。もう起き上がることもできない。正直、生きているのが不思議なくらい、体はズタズタだった。
「あっぱれだ。私に傷をつけたこと、賞賛に値する。せめて介錯をさせていただこう」
最初のコメントを投稿しよう!