20.たかがゴブリン

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「あれ?」 そのゴブリンは、ところどころ焦げ付いていた。 だが本人は平気な顔で辺りを見回している。 「…ゴブリン…だと?」 「あ…あなたは…」 ガル以外の二人の思考が、目の前で埃を払う魔物の存在に追いつかない。 「よう。えーと…グラ…グラタンだっけ?あれ?なんか死にかけてない?お前」 そうとぼけているガルに、グラハムは驚きを隠せない。 「ま…魔物が、喋った…?あなた、話ができたのですか?!」 「おう。魔女に頼んでこの通りよ。あとそのでかい奴は?」 「………」 ジェネラスは一言も発しない。いや、話せないのか? ガルはその視線の先に、ボロボロのレイドを見つけた。 「ありゃ?レイドまで…って死んでんじゃねぇか!?なんだよ!?どういう状況?」 三人が三人とも、その状況をいまいち掴みきれていなかった。しかしジェネラスは、抜いてある大剣の矛先を突然現れたゴブリンに向けることにした。 「魔物め…どこから湧いてきた」 「っ!!」 ブォン!!と空を切る音が響く。 「がっ!?」 それと同時、ジェネラスの剥き出しの顔面に、ガルの膝蹴りがキマって、その場に倒れこんだ。 ガシャン!!と鎧が床に当たる音がする。 ジェネラスは、自分に何が起きたのか理解できなかった。 「んだよ…。急に攻撃してきやがって!それと思い出した!お前、ジェネラスってガキだな!大きく育ちやがったなぁ」
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