11234人が本棚に入れています
本棚に追加
/2201ページ
近くに騒ぎから逃げてきた人がちらほらいて、その誰もが息を粗くしていた。
するとルファスが、その中の酔っ払いのようなおっさんに近づいてその肩を叩く。
「何があった?」
「あ、ああ…急に変な仮面を被った奴が現れて、酒場の客と口論になったと思ったら、おっ始めやがったん……ってあれ?」
ルファスは気配を消しているので、聞かれた男は後ろをキョロキョロと見ていた。
普通の人間には姿が見えていないようだな。
いや、存在を認識できないと言った方が正しいか。
しかし、仮面を被った…か。
十中八九、森で見たあいつだろう。
詳しい事情が知りたいが、今は時間がない。
「訳ありのようだな。まあ我々には関係ない。さっさと街を出よう」
戻って来たルファスが、そのまま街の外に向かって行った。
おそらくもう、ギルドか聖騎士団かに通報されているはず。どちらにしても面倒だ。
逃げるが勝ち。でも空間系の魔道具を手に入れたらまたここに来よう。
ルファスの後を追って、俺も駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!