5.リコの街

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近くに騒ぎから逃げてきた人がちらほらいて、その誰もが息を粗くしていた。 するとルファスが、その中の酔っ払いのようなおっさんに近づいてその肩を叩く。 「何があった?」 「あ、ああ…急に変な仮面を被った奴が現れて、酒場の客と口論になったと思ったら、おっ始めやがったん……ってあれ?」 ルファスは気配を消しているので、聞かれた男は後ろをキョロキョロと見ていた。 普通の人間には姿が見えていないようだな。 いや、存在を認識できないと言った方が正しいか。 しかし、仮面を被った…か。 十中八九、森で見たあいつだろう。 詳しい事情が知りたいが、今は時間がない。 「訳ありのようだな。まあ我々には関係ない。さっさと街を出よう」 戻って来たルファスが、そのまま街の外に向かって行った。 おそらくもう、ギルドか聖騎士団かに通報されているはず。どちらにしても面倒だ。 逃げるが勝ち。でも空間系の魔道具を手に入れたらまたここに来よう。 ルファスの後を追って、俺も駆け出した。
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