6.追跡者

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月明かりの下、ひたすら草原を走っていた。 後ろにチラッと目を向けると、街の明かりはもう見えない。ルファスは優雅に空からついて来ていた。まあ、ここまで来れば安全かな。あいつも警戒してないし。 俺は少し、スピードを緩める。 ただそういう心の隙、安心した直後というのが最も危険で、 「避けるのだ!!」 と、ルファスが叫ばなければ反応が遅れていただろう。 ブォッと脇を剣先が掠めた。 「うそ!?コレ避けんの!?」 声の主も、虚をついたはずの攻撃を避けられ体勢が崩れたようだが、すぐに立て直し、尚も剣を振るう。 早い!!でも集中して見極めれば、対処できる! 「あれ!?ぐっ!!うりゃあ!!これで…」 粗い…!!技もクソもない。獣のような太刀筋。でもがむしゃらに攻撃しているようでいて、一撃一撃が致命傷になり得る箇所を的確に狙ってくる。 俺は奴の剣筋を読み、ひたすらそれを避け続けた。 「なんで!!こいつ!!当たれぇ!!」 まあ、でも目が慣れたのでそろそろ反撃しますか。 避けた瞬間、奴の間合いに一歩踏み込む。 「え!?」 剣を持つ手首に一発。 足に一発。 ヨロけた所で顔を鷲掴み、地面に叩きつけた。 「っ!!!」 仮面をしたそいつは、声にならない声を上げて大人しくなった。身体強化はまだまだ未熟だな。頭にもろ衝撃が伝わっている。 上空を飛んでいたルファスが降りてきた。 「見事。助太刀するまでもなかった」 いや、助けろよ。 まあ、あの一言がなかったらヤバかったけどさ。
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