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月明かりの下、ひたすら草原を走っていた。
後ろにチラッと目を向けると、街の明かりはもう見えない。ルファスは優雅に空からついて来ていた。まあ、ここまで来れば安全かな。あいつも警戒してないし。
俺は少し、スピードを緩める。
ただそういう心の隙、安心した直後というのが最も危険で、
「避けるのだ!!」
と、ルファスが叫ばなければ反応が遅れていただろう。
ブォッと脇を剣先が掠めた。
「うそ!?コレ避けんの!?」
声の主も、虚をついたはずの攻撃を避けられ体勢が崩れたようだが、すぐに立て直し、尚も剣を振るう。
早い!!でも集中して見極めれば、対処できる!
「あれ!?ぐっ!!うりゃあ!!これで…」
粗い…!!技もクソもない。獣のような太刀筋。でもがむしゃらに攻撃しているようでいて、一撃一撃が致命傷になり得る箇所を的確に狙ってくる。
俺は奴の剣筋を読み、ひたすらそれを避け続けた。
「なんで!!こいつ!!当たれぇ!!」
まあ、でも目が慣れたのでそろそろ反撃しますか。
避けた瞬間、奴の間合いに一歩踏み込む。
「え!?」
剣を持つ手首に一発。
足に一発。
ヨロけた所で顔を鷲掴み、地面に叩きつけた。
「っ!!!」
仮面をしたそいつは、声にならない声を上げて大人しくなった。身体強化はまだまだ未熟だな。頭にもろ衝撃が伝わっている。
上空を飛んでいたルファスが降りてきた。
「見事。助太刀するまでもなかった」
いや、助けろよ。
まあ、あの一言がなかったらヤバかったけどさ。
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