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「しかしあの瞬間までこいつの接近に気づかなかった。何者であるか?」
そうだ。
気を緩めたのはそのせいでもある。
俺はあの瞬間まで警戒を解かなかったし、気配を常に探りながら走っていた。
こいつはかなりの手練れだが、俺やルファスの索敵を躱しながら近づけるほどの実力者でもない。
マジ何者だよ?
そう思って仮面を取ろうとした時、その手をガシッと掴まれた!!あら?
「捕まえたぁ!!」
「ガウ」
眠れ、と言ったつもりだ。俺は頭に思いっきり手刀を浴びせ、それを食らった奴はガクッと今度こそ動かなくなった。
つんつん、とその辺にあった木の枝で小突いているとルファスが面倒臭そうに、
「どうするのだ?話を聞くか?」
と言ってきた。
んーー。放っといてもいいけど、あの騒ぎのせいで黒毛牛サンドのおかわりを買い損ねたんだ。
容疑者であるこいつに、その落とし前をつけてもらわなきゃな。
そのまま奴を担ぎ、ここじゃ目立つので取り敢えず森の方へ行くことにした。
「ふふふ。やはりお前は変わった奴よな」
そう言うと、体が軽くなった。
いや、ルファスが例の浮遊魔法で仮面の奴を浮かばせたんだ。
ルファス、お前も充分変わってるよ。
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