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しばらく森の静寂の中で茶をすすっていると、
「不思議な、コンビだな」
と仮面の奴が口を開いた。
全くその通りだな、と思う。
俺は特に反応しなかったが、代わりにルファスがそれを口火に尋問を始めた。
「貴様、名は?」
「……テッド」
「リコの街の者か?」
「ああ」
「その仮面はなんだ?」
「………」
言いにくいのか、説明が難しいのか、テッドと名乗る…おそらく少年は黙る。
ただの仮面ではない。十中八九、魔道具の一種だ。
ルファスも同じ考えなのだろう、それを咎めることはせず、
「どこで手に入れてどんな効果があるのだ?」
と聞き直した。
だが、少年は尚も黙る。
「その沈黙は私には無意味だ。意味がわかるか?」
「……っ!?」
俯いていたテッドが顔を上げる。
一部の魔族には、幻術のような魔法を操る者もいて、それの応用で自白を促す魔法もあると聞いた。
だがテッドの仮面のような魔道具には、一種の"呪い"が施された物もあり、その使用者がなんらかの方法で自白を強要された場合、命を落とす…。そんな物騒な代物も中にはあった。
そのリスクを取らずに、ルファスはあくまでテッド自身に自白させようとしている。
甘い魔族だなー。
俺のせいか?
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