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やっと、やっとだ。
他者には、なんて事ない些細な出来事。
だがレイドにとっては、やっと掴めた貴重な情報だった。
「酒場の店主に直接聞いたので信憑性はありますね。まあ追っていた際、盗賊に鉢合わせてしまったらしいですが…」
「んなことはどうでもいい!!リコか…。確かにあっこにはまだ行ってなかったな」
「あそこは転移魔法陣が設置されていませんからね。特産品で街は潤っている為、その必要がないそうで」
「ちい!だがお前らの仲間はそこにいるんだろう!?」
「彼は戦闘系ではなく、ただの諜報員ですから」
「近くの転移陣は!?」
「それこそ我らの街です。お送りいたしましょうか?」
「必要ねぇ!!」
レイドは話し合っていたギルドの会議室を飛び出し、そのまま転移魔法陣から転移する。
「騒がしいお人だ。だがあの人をあそこまで駆り立てるゴブリンか。ふふ…。是非お目にかかりたい…」
残されたデュランの隠密部隊の隊長、そして筆頭でもあるその男は"影隠れのグラハム"という二つ名を持っていた。
"疾風のレイド"と肩を並べる実力者であり、その姿を見た敵は、必ず死を迎えると恐れられている存在である。
グラハムは、組んでいた手を下ろすと、静かにレイドの後に続き、部屋を出た。
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