7.スキル持ちと秘宝

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名前か…。人間だった頃の名はまずいよな…。 俺はカバンから羊皮紙とペンを取り出した。 「ほう。ヒト語を理解しているだけでも驚いたが、文字も書けるのか…」 馬鹿にするな、とルファスを睨む。 「クク…。すまない」 「おいおい…。どこまで常識外れな魔物だよ…」 んーーーと、俺は少し考えてから、ペンを走らせた。 よし。俺の名前は…。 「ガル?」 「ははは!お前の鳴き声のような名だな!痛いっ!?」 ルファスの頭を叩く。 ガルってのは俺が目覚めた森の名だ。 いつかの酔っ払いがそう言っていたのを覚えている。 んー。まあ、ルファスの言う通り俺の鳴き声みたいだな…。やっぱやめようかな…。 「わかった!ガルの旦那!!んで、お前はなんていうんだよ?」 「人間に名乗るつもりなどない。下等生物め」 あ、ルファスそれ差別だぜ。 それに俺も人間。ちょっとカチンとくるな…。そんなだから闘争が絶えないんだよ。 俺はルファスの名前を羊皮紙に書く。 「ガウガウ」 「おい!何を勝手に…!」 「ふーん。ルファスね…」 「気安く略称を呼ぶでない!!品位が落ちるであろう!!」 「略称?じゃあフルネームはなんだよ?」 あれ?なんだっけ?えーーーと…。 …。 忘れた…。 「ふん!教える気はない」 「じゃあルファスとしか呼べねぇじゃんか。面倒な奴」 「貴様!!今すぐ消し炭にしてやろうかぁ!!」 ルファスは極大魔法を掌に練り始める。 おい。俺ごと吹っ飛ばす気かよ。 「あ、無駄だぜ?俺に攻撃魔法は効かねぇ」 「ぬ?」 は?
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