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「くっ…。情けない。だがこれは魔力に何かを混ぜてあるぞ。気をつけろ…」
「混ぜてある?」
あ…。
わかったかも。
たぶんだけどな…。
「ガルの旦那、ここじゃキャンプなんて無理だよ。場所を移そうぜ」
いや、無駄だな。
見つかってしまった以上、あいつのことだ。
別の大陸に行ったって警戒してるぞ。
「ガウ」
俺は森を指さす。
「は!?正気か旦那!?」
ルファスには悪いが、ここは進むしかないだろう。水浴びもなしだ。
「クク…。面白い。私は大丈夫だ。行こう」
「ガァ?」
いいのか?と、釘を刺す。
ルファスは何も言わず、コクリと頷いた。
「ひぇ~。こんな真っ暗な森に入るのかよ。アンデット系の魔物とか出そう…」
「ははは。もともと奴らは我々魔族が従えていたものだ。魔族嫌いが使役するとは思えん」
マジレスしてら。んじゃ、行きますか…。
森に向けて進み出した瞬間、ルファスに向けていた魔力が俺とテッドにまで及ぶ。
だがテッドは相変わらず平気そうだ。
十中八九あの仮面の効能だろう。
「うわ~。魔女の森だよ…。マジで入っちゃった」
森は濃霧と夜の闇、それらが相まって全く前が見えなかった。以前、訪れた場所とはとても思えない…。
「バル・ヒース」
ルファスは炎を作り出す。
足元ぐらいは見えるようになったが、それでも視界は悪い。
それぞれ警戒しながら一歩一歩進んでいく…。
幸いなことに、魔物の気配はなかった。
いや、それどころか生き物の気配がしない…?
と、その時だった。
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