8.魔族嫌いの魔女

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「くっ…。情けない。だがこれは魔力に何かを混ぜてあるぞ。気をつけろ…」 「混ぜてある?」 あ…。 わかったかも。 たぶんだけどな…。 「ガルの旦那、ここじゃキャンプなんて無理だよ。場所を移そうぜ」 いや、無駄だな。 見つかってしまった以上、あいつのことだ。 別の大陸に行ったって警戒してるぞ。 「ガウ」 俺は森を指さす。 「は!?正気か旦那!?」 ルファスには悪いが、ここは進むしかないだろう。水浴びもなしだ。 「クク…。面白い。私は大丈夫だ。行こう」 「ガァ?」 いいのか?と、釘を刺す。 ルファスは何も言わず、コクリと頷いた。 「ひぇ~。こんな真っ暗な森に入るのかよ。アンデット系の魔物とか出そう…」 「ははは。もともと奴らは我々魔族が従えていたものだ。魔族嫌いが使役するとは思えん」 マジレスしてら。んじゃ、行きますか…。 森に向けて進み出した瞬間、ルファスに向けていた魔力が俺とテッドにまで及ぶ。 だがテッドは相変わらず平気そうだ。 十中八九あの仮面の効能だろう。 「うわ~。魔女の森だよ…。マジで入っちゃった」 森は濃霧と夜の闇、それらが相まって全く前が見えなかった。以前、訪れた場所とはとても思えない…。 「バル・ヒース」 ルファスは炎を作り出す。 足元ぐらいは見えるようになったが、それでも視界は悪い。 それぞれ警戒しながら一歩一歩進んでいく…。 幸いなことに、魔物の気配はなかった。 いや、それどころか生き物の気配がしない…? と、その時だった。
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