8.魔族嫌いの魔女

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『そこで止まれ』 お? 「おっおいルファス!お前何か言ったか?」 「………」 「ん?ルファス!」 ルファスはとうとう膝をついてしまった。 作り出した炎も小さく弱々しい。 『立ち去れ。今なら間に合うだろう』 「誰だ!?ま…まさか魔女か!?」 魔女だろな。頭の中に響くような声。 俺が初めてこの森に来た時も同じ演出をしていた。 「……大…丈夫である。ガル殿」 いや、大丈夫じゃねぇだろ。 お前ほどの奴が参ってしまうとか、本当にあいつは…。 「だ…旦那、どうするんだよ?」 ま、あの時と同じなら対処法も同じだろ。 俺はその辺の手頃な石を手に取り… 『ふふん。何をする気だ小さき者よ…。無駄だやめて…痛たぁぁぁあ!!!!???』 俺が投げた石が無事ヒットしたらしい。 前方の木の間から、ガサッドンッ!!と音がして、そいつは姿を現した。 「い…てててて…」 「旦那!?こいつは!?」 「魔女か?ガル殿…お見事」 「ガウ」 俺たちの視線の先で、見た目は十四〜五才くらいの美少女が尻餅をついていた。 長い黒髪は乱れ、木の上に隠れていたせいだろうか?少し奇抜なデザインのローブには木の葉がたくさん付着している。あと身長に見合わない長い杖…それも前と変わっていない。 頭に石が当たったのか、頭をさすっていた。帽子は魔女の足元に落ちている。 「痛ぁ~い!もう…!なんてことしてくれんのよ!!」 相変わらず騒がしいな、ルディ。
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