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そこは少し開けた場所だった。
以前はこの広場でお茶会なんかをしたもんだと、懐かしさがこみ上げてくる。
「お、おい魔女!!ルファスをどうした!?」
だがその声で我に帰った。
そうだ。ルファス…。
周りを見ても、今この空間には三人しかいない。
俺とテッド、そしてなぜか肩で息をしている魔女。
「はぁ…。はぁ…。ふふん!なぜ魔物を庇ったのか知らないけど、目障りだった奴が消えてそれはそれで良しね…」
ルファスが、俺を庇った…。
そしておそらく強制転移させられたんだ。
普段のルファスなら跳ね返すこともできたはず。
だが誰がどう見ても弱っていた。きっと俺を突き飛ばすのもやっとだったろう。
そこまで情が移っていたのか?
奴といたのはほんの数日だ…。
俺だって魔族というだけで毛嫌いしていた。だがルファスのような奴もいるとわかったら、少し考えを改め始めていた。
完全に信用していたわけではない。
でも妙な仲間意識が芽生えていたのも事実。
「さ、バカな魔族と同じ目に遭いたくなかったら、さっさと森から立ち去りなさい!」
ルディのその言葉に、カチンとくるぐらいには俺も情が移っていたようだ。
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