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なんてゴブリンだよ…。
仮面の少年テッドは、その光景をただ呆然と立ち尽くして見ることしかできなかった。
目の前から消えたと思ったら、その圧倒的なスピードで魔女に次々と切りかかり、あっという間に切り伏せてしまった。
いや…魔女の様子を見るに、おそらく全ての剣撃を意図的に外している。
あり得ねぇ…。なんだよあの技術は…。
テッドは幼少の頃から剣士に憧れ、いつかは王都直属の騎士になることを夢見て、毎日剣を振るっては技を磨いていた。
まだ未熟とはいえ、剣に関してはそれなりに自信があった。だからこそ、その凄さがわかる。
ガルの剣技の全てが見えたわけじゃない。
でも点のように見える動きの中で、その技術の高さに恐怖すら覚えていた。
一切無駄のない動きで、当たれば全てが致命傷になりうるほどの剣撃。そしてその早さ。
最後の一閃は剣筋が全く見えず、気づけば大木を切り倒していた。
「す…すげぇ…」
思わずそう漏らすと、ガルがこっちを向いて手招きをする。
もう大丈夫なのだろうか?
駆け寄ると、剣をテッドに返す素振りを見せた。
「ガァ」
おそらく"ありがとう"という意味だろう。軽く頭を下げてくれた。
「はは…。本当に何者だよアンタ…」
テッドは剣を鞘に納めながら、ただただ驚愕の眼差しを向けるのだった。
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