9.魔女の家

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いつの間にか、霧は晴れていた。 ルディは倒れた木の側で震えている。 うん。やっぱりやり過ぎたかも…。 「旦那、どうするんで?」 どうしよう…。 あ、そうだ。 俺はカバンから、ルディへの手土産と思って買っておいた物を取り出し、火石で火をつけた。 ゆらゆらと煙が立ち込め、甘いバニラの香りが漂ってくる。 「っ!!そ、それって…」 ルディはガバッと顔を上げ、それを見る。 最初に会った時、ルディはバニラの香りがするこのお香を気に入り、それ以来ここに訪れる時は必ず買ってきていたのだ。 そしてメモの書かれた羊皮紙を見せると、 「う…嘘…。そんなわけない…だって…」 と俺に目線を向けた。 「ガァガァ」 よっ、という感じで手を挙げる。 それでもまだ疑心暗鬼な表情だ。 まあ無理もない。見た目は完全にゴブリンだもんな…。 「旦那、この魔女と知り合いなのか!?」 「ガウ」 ちょっとね、といった感じで、目だけテッドに向け返事をする。 その時、バシッと羊皮紙を持っていた手を叩かれ、羊皮紙はヒラリと地面に落ちた。 「騙されるもんですか!!嘘よ!!アンタみたいな魔物があの人だなんて!!」 だから呪いかなんかでこうなっちゃってんだよなぁ…。どうやったら信じてもらえんだ?こんだけ証拠が揃ってんだけど…。 う~ん…。
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