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ルディに連れられて森の中を進む。
それにしても静かだな…。
夜とはいえ、以前は多くの動物や魔物がいて賑やかだった。
ルディの仕業か、単純に環境の変化なのか…。
まあ、それも話せばわかることか。
しばらく進んでいくと、さっきの広場よりも開けた場所に出た。ルディはそこで立ち止まると、
「ガイ・フーラ」
と、魔法を唱える。
すると目の前がノイズ掛かったようにボヤけ、パッと光ったと思ったら家が現れた。
隠密魔法?やけに用心しているな。
「仮面はそこにいなさい」
「へ?あっ!ちょっ……」
ルディは俺だけ家に上げると、パタンと扉を閉めた。
まあ、俺的にもそっちの方がいい。
いろいろ説明すんのが面倒だからな。
「適当に座ってて。お茶淹れるわ」
俺は頷くと、部屋の中央にあるソファーに腰掛ける。ルディはチラっとその様子を見ると、笑みを浮かべて奥のキッチンに入って行った。
内装に特に変化はない。
生き物の身体の一部が詰められた瓶が、壁を覆うように並べられた棚に陳列し、床には分厚い本が乱雑に重ねられ、実験台らしき机の上では妙な色の薬品がコポコポと音を立てながら沸騰?している。
違うこと、と言われれば、部屋にはバニラの香りが漂っていた。
あのお香があちらこちらに置かれていて、部屋全体が煙に包まれている。
煙い…。
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